メニュー

関連ページリンク

トップ > 129 > 129 - 人気ブログ(Blog)検索結果詳細 (2009年1月10日 2時)

アトキンス式ダイエット(低炭水化物ダイエット)と 糖質制限食

おはようございます。

「アトキンス式ダイエット(低炭水化物ダイエット)と糖質制限食は同じなのか、違うのか?」

という質問をよく受けますので説明したいと思います。

まずは言葉の定義からですが、「炭水化物=糖質+食物繊維」です。

食物繊維は、人体に吸収されず血糖値も上げません。即ち、血糖値を上昇させるのは糖質ですので、本ブログではもっぱら糖質を使用します。

糖質を摂取すると、消化管から吸収されたブドウ糖は、門脈血からまず肝臓に約50%取り込まれて、それ以外が血液の大循環に回ります。

また、糖質を摂食して血糖値が上昇すれば、正常人では速やかにインスリンが追加分泌されます。肝臓に取り込まれなかったブドウ糖は、肝静脈から血中に入り、動脈血中に入ったブドウ糖は、インスリン追加分泌により骨格筋や脂肪細胞に取り込まれます。

肝に取り込まれたブドウ糖は、インスリンによりグリコーゲンとして蓄えられます。筋肉細胞などに取り込まれたブドウ糖は、エネルギー源として利用されたあとグリコーゲンとして蓄えられます。

しかし、余った血糖は中性脂肪に変えられ、脂肪組織に貯蔵され肥満につながりますので、インスリンは、肥満ホルモンと呼ばれるわけです。

ここで大切なのは、血糖値を急速に上昇させるのは、糖質・タンパク質・脂質の3大栄養素のうち、糖質だけという生理学的事実です。

糖質を摂取しなければ、血糖値はあまり上昇せず、インスリンの分泌も少量ですむので、肥満もしません。

この基本的な考えは、アトキンス式ダイエット(低炭水化物ダイエット)と糖質制限食の理論は同一であり、両者共に、糖尿病治療にもダイエットにも、著明な効果があります。

違う点で言うと、糖質制限食は、糖尿病治療のために考え出されたものです。現在まで高雄病院で400人以上の入院患者さん、1000人以上の外来患者さんのデータを検証し積み重ね、学術的な立場で糖質制限食の治療効果を確立させました。

従って、糖尿病患者さんと糖質制限食という観点においては、高雄病院には、世界で最も多くのデータが揃っていると思います。

アトキンス式低炭水化物ダイエットの場合は、文字通りダイエットを目的に考え出されたもので、外来通院患者さんのデータや、肥満改善のデータは豊富にありますが、高雄病院のように、糖尿病入院患者さんの詳細な学術的データはありません。

1999年に私の兄、江部洋一郎が高雄病院で初めて糖質制限食を開始した時は、「シュガーバスター」「砂糖病―甘い麻薬の正体」といった本や、探検家の植村直己さんのイヌイットの村での食生活体験記、愛媛の同級生釜池豊秋先生との会談・・・、などを参考にして出発したようです。

その後しばらくして、私が「アトキンス博士のローカーボダイエット」同朋舎 (2000/10)のことを知り、2002年頃に手に入れて読んでみました。その結果、サプリメントや病原性イースト菌の話など、一部内容は、高雄病院の糖質制限食とは乖離していますが、基本線は同じであると思いましたし、参考にもなりました。

さらに「バーンスタイン医師の糖尿病の解決」メディカル トリビューン(2005/12)が出て、こちらは著者が1型糖尿病ということもあり、糖尿病治療食としての糖質制限食という意味で、非常に参考になりました。バーンスタイン医師は、1972年頃から糖質制限食を始められて、1999年に米国で原本を出版されています。

糖質制限食を実践していく中で、糖尿病のみならず、肥満メタボリックシンドローム脂質異常症アレルギー疾患など生活習慣病全般に効果があることがわかりました。

糖質制限食により、代謝全てが改善するので、人体の自然治癒力が高まると考えられます。また血糖値、脂質がコントロール良好となるので、血流が毛細血管にいたるまで改善すると考えられます。


江部康二

作者:ドクター江部

更新日:2009年1月9日 8時14分

このブログのホーム

血糖調節システム

おはようございます。
今日は、血糖調節システムのお話しです。

人体の血糖調節は、なかなか精妙で複雑なシステムにより維持されています。血糖値は「食事」、「肝臓によるグリコーゲン分解・糖新生と糖の取り込み」、「運動」、「ストレス」、「インスリン・グルカゴンなどホルモン」・・・いろいろな要素が合わさって調節されています。


① 空腹時
食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生に切り替わります。


② 摂食時
摂食時には消化管から吸収されたブドウ糖は、門脈血からまず肝臓に約50%取り込まれて、それ以外が血液の大循環に回ります。

肝細胞でのブドウ糖取り込み自体は、糖輸送体Glut2*を介して行われ、インスリン追加分泌とは関係ありません。しかし肝に取り込まれたブドウ糖はインスリンによりグリコーゲンとして蓄えられます。

糖尿人では<肝臓のグリコーゲン分解と糖新生>が摂食時にも抑制されにくいので、食後高血糖となります。また糖尿人は、門脈血からの肝臓のブドウ糖取り込みも低下しているので、この面でも食後高血糖を起こしやすいのです。

糖質摂食して血糖値が上昇すれば、正常人では速やかにインスリンが追加分泌されます。
肝臓に取り込まれなかったブドウ糖は、肝静脈から血中に入り、動脈血中に入ったブドウ糖は、インスリン追加分泌により細胞表面に移動した糖輸送体GLUT4により骨格筋や脂肪細胞に取り込まれます。骨格筋が、約70%の血糖を取り込みます。

これにより血糖値も速やかに下がります。取り込まれず余った血糖は、インスリンにより中性脂肪に変換されます。

しかし、糖尿人の場合は、血液中のブドウ糖(食後高血糖)は<インスリン分泌不足>と<筋肉や脂肪細胞におけるインスリン抵抗性>により処理されにくいので、食後高血糖が遷延します。

また、インスリン作用不足による脂質代謝異常、アミノ酸代謝異常、高血糖そのものによるインスリン作用低下、インスリン拮抗ホルモン優位、など様々な因子が重なり合って、高血糖が持続するのですね。

さらに糖尿人の一部においては、胃不全麻痺**による内容物の排出遅延があり、吸収も遅延して通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。


③ 運動時
安静時には、インスリンの基礎分泌はありますが少量なので、糖輸送体(Glut4)は細胞表面にでてこれず、筋肉細胞・脂肪細胞は血糖をほとんど取り込まめません。
運動時(筋収縮時)には筋肉細胞の糖輸送体(Glut4)がインスリン追加分泌がなくても細胞表面に移動して、血糖を取り込むことが可能となり、血糖値が下がります。筋肉細胞が血糖を取り込んでエネルギー源とした後、筋肉中のグリコーゲンが満杯になれば、取り込みはストップします。脂肪細胞は運動には無関係です。ジョギングや歩行ていどの軽い運動が適切とされています。

糖尿人でインスリンの基礎分泌があるていど以上不足していると、運動によりかえって血糖値が上昇することがあるので注意が必要です。

バーンスタイン医師によれば、個人差はありますが空腹時血糖値170mg/dlを超えているような場合はそのような可能性があるとのことです。

また強度の強い運動だと、アドレナリンや副腎皮質ホルモンなどのインスリン拮抗ホルモンが分泌されますので、血糖値が上昇することがあります。


④ ストレス
急性のストレスがあると、アドレナリン、グルカゴン、副腎皮質ステロイドホルモンなど血糖値を上げるホルモンが分泌されますので血糖値が上昇します。


血糖値は、①.②.③.④などの因子が複雑に絡み合ったシステムにより調節されています。たかが血糖値されど血糖値、なかなか一筋縄ではいきませんね。



糖輸送体(Glut:glucose transporter)
ブドウ糖が細胞膜を通過して細胞内に取り込まれるためには、グルコーストランスポーター(糖輸送体)と呼ばれる膜蛋白が必要です。

Glut1~Glut12と HMITが報告されています。
Glut1(脳、赤血球、網膜などの糖輸送体)はインスリン非依存性です。
Glut2(肝臓、膵臓のβ細胞などの糖輸送体)はインスリン非依存性です。
Glut4(筋肉細胞、脂肪細胞の糖輸送体)はインスリン依存性です。


**胃不全麻痺
バーンスタイン医師(米国の1型糖尿病の医師で糖質制限食実践中)の本にも記載されている<胃排泄遅延・胃不全麻痺>が年期の入った糖尿人ではありえます。欧米人には胃不全麻痺が結構多いようですが日本人でも当然ありえます。

胃不全麻痺のある糖尿人は、夕食を午後6時頃食べても、胃からの排泄が遅延して吸収が遅くなり、通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。そのため翌朝の空腹時血糖値が高値となることがあります。


江部康二

作者:ドクター江部

更新日:2009年1月8日 7時46分

このブログのホーム

お知らせ

【講演会・講座のお知らせ】

☆☆ 糖質制限食講演会・諏訪中央病院・長野
日時:平成21年1月21日(水)午後2時から4時
講師:江部康二
場所:諏訪中央病院 長野県茅野市玉川4300番地 TEL 0266-72-1000(代)
お問い合わせ:0266-72-1000(諏訪中央病院)
一般の人も参加OKとのことですのでブログ読者の皆さんも是非どうぞ。


☆☆漢方医のすすめるアレルギー疾患の養生法 ~花粉症を中心に
高雄病院京都駅前診療所
所長
篠原 明徳 先生
2009年 1/25(日曜) 10:30~12:00
会員2,940 一般3,465
場所:朝日カルチャーセンター京都 http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
問い合わせ:075-231-9693(朝日カルチャーセンター京都)


☆☆ 糖質制限食講演会・東京・中野
日時:2009年2月11日(祝日)12時半開場、13時開演~16:00終了
講師:江部康二/大柳珠美(管理栄養士)
会場:なかのZERO  学習室
会費:1500円
申し込み:糖質制限食ネット・リボーン 曽我部ゆかり
(T/F)03−3388−5428
(e-mail) reborn@big.or.jp


☆☆講座「糖尿病・メタボはこう予防する!~糖質制限食のすすめ」京都
場所:朝日カルチャーセンター京都 http://www.asahi-culture.co.jp/www/kyoto-c.html
問い合わせ:075-231-9693(朝日カルチャーセンター京都)
日時:2009年2月17日(火)13:00~14:30
講師:江部康二
会員2,940 一般3,465

☆☆ 演題:『糖尿病・メタボは必ず良くなる!~糖質制限食のすすめ~』
とき  : 2009年2月21日(土)午後1:30分~4:00
ところ :名古屋市女性会館 (名古屋市中区大井町7-25)
      ℡052-331-5288
講師 :江部康二/佐橋紀子(患者の立場から…”翼”代表)
参加費:1.000円/チケット販売・もしくは電話で申し込み
主催  :HUMAN LIFE INFO NET ”翼”
問合せ :佐橋紀子(052-501-0994) 
     高橋君枝(052-502-3670)
     原 育世(0568-84-6946)


糖質制限食コントロール・教育入院のご案内】
お問い合わせは高雄病院 http://takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3 
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。



糖質制限食外来治療のご案内・予約制】
高雄病院  電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3

高雄病院京都駅前診療所  電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F

江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F


<コメント・質問に関するお知らせ>

ブログ読者の皆さんには、いつもコメントや質問をいただき、ありがとうございます。
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。

一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即お答えすることが困難となってきています。できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m

それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。

江部康二


糖質制限食とは〕

食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%、タンパク質は50%、脂質は10%弱が血糖に変わります。 また糖質は摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方タンパク質の血糖値上昇のピークは食後約3時間で、脂質は消化・吸収に丸一日かかることもあります。

これらはカロリーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。 

現在糖尿病において食後の急激な高血糖が大きな問題として注目されています。食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは三大栄養素のなかで糖質だけなのです。

1gの糖質が、2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。 従って、6枚切りの食パン2枚(約310キロカロリー)食べると糖質 が約50g含まれているので、血糖値は150mgも上昇します。一 方、ロースステーキを300g(約1200キロカロリー)食べても糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。 

糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは、米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
 
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。

一方、上述の食パンとステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。

従って現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを、1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。

糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。なお、糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。


☆☆☆
糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-

一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。

糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。*炭水化物=糖質+食物繊維



☆☆☆
糖質制限食を実践する時のご注意

本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。

一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、「主食を抜けば糖尿病は良くなる」「主食を抜けば糖尿病は良くなる 実践編」「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」「 糖質制限食 春のレシピ」「 糖質制限食 夏のレシピ」「糖質制限食 秋のレシピ」「糖質制限食 冬のレシピ」を参考にして、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。


江部康二

作者:ドクター江部

更新日:2009年1月7日 9時20分

このブログのホーム

人類の食生活3段階と血糖値③

おはようございます。

今日は昨日の続き、人類の食生活3段階と血糖値シリーズの3回目で最終回です。

組織的農耕が始まったのは、約1万年~1万4千年前ですが、世界的に広がり定着したのは、約4000年前と考えられます。

<精製炭水化物以後>

さらに18世紀に欧米で、小麦の精製技術が発明されます。白いパンの登場です。日本では、江戸中期には白米の習慣が定着していきます。

すなわち、ここ200年~300年間、世界で精製された炭水化物が摂取されるようになりました。現代では、世界中の多くの国で、主食は白いパンか白米などの精製された穀物です。

精製された炭水化物は、未精製のものに比して、さらに急峻に血糖値を上昇させます。
これらを食べると、空腹時血糖値が100mgとして、食後血糖値は160~170mgまで上昇します。
血糖値上昇の幅は60~70mgもあります。これほど急激に血糖値を上昇させる食品は、400万年の人類史上、類をみないものです。

追加分泌のインスリンは、未精製穀物摂取時に比し、さらに大量に分泌せざるを得ません。特に近年のジャンクフード(*)の増加がインスリン過剰分泌を生じさせています。

インスリンを大量に分泌し続けて40~50年、膵臓が疲弊すれば糖尿病になります。インスリン分泌能力が高い人は、さらに出し続けて肥満・メタボリックシンドロームになります。

人体にはホメオスタシス(恒常性)というものがあり、できるだけ変化が少なく体内を一定の状態に保とうとします。

食後血糖値の変化をみたとき、農耕が始まる前(糖質制限食)だと恒常性が保たれ、玄米や全粒粉のパンだとボチボチで、白米や白パンだとかなり乱れることがわかります。

人類の血糖値の恒常性は、399万年間保たれていましたが、その変動幅は、農耕開始後3800年間2倍程度となり、精製炭水化物摂取が始まったここ200年はその幅は3倍となり、インスリンを大量・頻回に分泌せざるを得なくなったのです。

糖尿病の人が糖質を摂取すると、未精製の穀物でさえも、食後血糖値は軽く200mgを超えてきます。この急峻な食後高血糖のことを「ブドウ糖スパイク」とよび、糖尿病の人で動脈硬化が生じる元凶となります。

精製炭水化物を摂取した時に正常の人でも生じる食後血糖値が160mg、170mgという状態を、私は「ブドウ糖ミニスパイク」と名付けました。

このブドウ糖ミニスパイクが、生体の恒常性をかく乱してアレルギー疾患を悪化させたり、将来の生活習慣病のもととなります。

過去世界中にいろんな食事療法がありましたが、経験的に有効とされているものは、玄米菜食、ゲルソン療法、甲田療法など基本的にブドウ糖ミニスパイクが少ないという一点で一致しています。

私は現在、世界に氾濫する生活習慣病の元凶は、精製炭水化物やジャンクフードによるグルコースミニスパイクとインスリン過剰分泌と考えています。


江部康二

(*)ジャンクフード
ジャンクフード(junk food)とは、エネルギー(カロリー)は高いが、他の栄養素であるビタミンやミネラルや食物繊維があまり含まれない食品のこと。「ジャンク」とは、「がらくた」・「屑」の意。

ファーストフードのハンバーガーやドーナツ、ポテトチップス・ポップコーンなどのスナック菓子全般に多い。 清涼飲料水には砂糖が重量の10%と大量に添加された飲み物も多く、こういった食品も典型的なジャンクフードである。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』から一部引用)

作者:ドクター江部

更新日:2009年1月6日 10時12分

このブログのホーム

人類の食生活3段階と血糖値②

こんにちは。今日は、昨日の続きです。

<農耕の始まりと血糖値の変化>

今までの定説では、10000年前、即ち紀元前8000年~7000年頃、現在の北シリア、ヨルダン川の辺りで原初の組織的農耕が始まったとされていました。

そのジェリコは、世界最古の町と呼ばれており、人類は初めて穀物を日常的に食べることができるようになりました。

農耕の起源について、最新の研究では、約1万4000年前に中国の長江流域で、稲作が行われていたという説があります。その成立期の代表的な遺跡として、中国北部および長江中流域の江西省万年県仙人洞遺跡があります。紀元前12000年頃の遺跡とされていて、栽培された稲が発見されたそうです。

このように、組織的農耕が始まったのは約1万年~1万4千年前ですが、世界的に広がり定着したのは、約4000年前(この数字はややアバウトです。すいません)と考えられます。

いつも人類の歴史400万年といっていますが、ゴリラやチンパンジーと分かれたのが400~500万年前ということです。その後、アウストラロピテクス属、パラントロプス属、ヒト属の3属・17種の人類が栄枯盛衰を繰り返し、結局約20万年前に東アフリカで誕生したホモ・サピエンス(現世人類)だけが現存しているわけです。

ここで大切なこと、そして本質的なことは、3属・17種の人類は、全て狩猟・採集が生業だったということです。つまり、農耕が始まる前の399万年間は、人類皆糖質制限食であり、ヒトは進化に要した時間の大部分で、採集狩猟生活をしていたということです。

従って、現世人類の行動や生理・代謝を決める遺伝子セット(DNA)は、採集狩猟の生活条件に適応するようにプログラムされていると考えるのが自然です。

「狩猟採集対農耕=399万年間対4000年間=1000対1」ですので勝負になりません。

即ち、人体は、本来穀物に依存して生きるような遺伝的システムは、持っていないということになります。このことは、糖質制限食の理論的根拠として、大きなアドバンテージですね。

さて農耕が定着し、小麦や米のデンプン(糖質)を摂取するようになると、血糖値が急峻に上昇します。糖質・脂質・タンパク質の三大栄養素のなかで血糖値を急峻に上昇させるのは糖質だけです。

人類は、狩猟民から農耕民になったとき、単位面積あたりで養える人口が50~60倍に増えました。
しかし、穀物(糖質)を摂取すれば、未精製のものでも空腹時血糖値が100mgとして、食後血糖値は140mgていどまで上昇し、インスリンが大量に追加分泌されます。血糖値上昇の幅は、40mgもあります。1回のインスリンの追加分泌は、正常人では、基礎分泌レベルの数倍~10倍以上の量となります。

農耕以後の4000年間は、人類の膵臓β細胞は、それ以前に比べて毎日数倍~10倍以上働き続けなくてはならず、まるで原罪を背負ったようなものなです。血糖値の変動幅は、狩猟・採集民だったころに比べると2倍に上昇しています。

続く

江部康二

作者:ドクター江部

更新日:2009年1月5日 16時23分

このブログのホーム

No title

江部先生、度々質問をすいません。
糖質制限をしているのって、食後高血糖を抑えるためですか?
糖質制限で空腹時血糖値も下がるのでしょうか?
また、食べ物を食べると

作者:neo

更新日:2009年1月9日 21時35分

このブログのホーム

バナナ

玲さん。

バナナは数ある果物の中でも、最も
糖質含有量が多いです。
バナナ1本が約170gで糖質が36.4g入ってます。

1gの糖質が3mg血糖値を上昇させ

作者:江部康二

更新日:2009年1月9日 15時9分

このブログのホーム

No title

お聞きしたいことがあります。
朝バナナは糖尿の人にはいいのですか?
悪いのですか?

作者:玲

更新日:2009年1月9日 10時57分

このブログのホーム

No title

お忙しい中ありがとうございました。
早速母を連れて行ってきます。

作者:かな

更新日:2009年1月9日 5時21分

このブログのホーム

No title

先生
いつかつレンダーを作ってください。先生の十ヶ条やいろいろな教えを書いてあるカレンダーや日めくり帳があったらいいな~と思います。食卓において食事をするときに

作者:シアトルから

更新日:2009年1月9日 2時16分

このブログのホーム

腎症

かな

透析中でも
養腎降濁湯で、体調が改善、尿量が増える、クレアチニンの上昇が緩やかになる、などの効果が数割の人に期待できます。
ラサ内科皮膚科クリニックの諸

作者:江部康二

更新日:2009年1月8日 17時1分

このブログのホーム

きなこ

まにゃ さん。

一回に摂取する糖質のグラム数の問題ですので
適宜きなこを使ってもよいと思います。
1gの糖質が3mg血糖値を上昇させるということを
前提に美味

作者:江部康二

更新日:2009年1月8日 16時33分

このブログのホーム

低糖くるみぱん - 手ごね版(糖質:1.5g / プチパン1個分)

低糖質パンは糖質制限人も安心して食べられるのである。 美味しく、楽しい糖質制限を心掛ける糖質ポリスです。 さて、今回の紹介メニュー...

作者:糖質ポリスのメタボ&糖尿病をぶっ飛ばせ!

更新日:2008年12月17日 11時50分

このブログのホーム

国産グルテン使用のすずさやかパン(糖質:2g / プチパン1個分)

低糖質パンは糖質制限人の喜びです。 美味しく、楽しい糖質制限を心掛ける糖質ポリスです。 さて、今回の紹介メニューは「国産グルテン使...

作者:糖質ポリスのメタボ&糖尿病をぶっ飛ばせ!

更新日:2008年12月15日 17時46分

このブログのホーム

運動では、血糖値を下げない場合も

糖尿病関連の書籍を見ると、 「血糖値を下げるために、食後一時間~二時間の間に運動を行ないましょう」 という記述をよく見かけます。 これがあるグループの方々にとって、正しいことは、いろいろな糖尿病の方々のブログを覗くことでも分かります。 しかし、私の体...

作者:穴だらけの指

更新日:2008年11月28日 8時32分

このブログのホーム

大豆イソフラボン

10秒で流行のあのキーワードについての情報を調べよう!

作者:早耳トレンド・キーワード調査隊!

更新日:2008年11月28日 0時54分

このブログのホーム

NHK病の起源・糖尿病放送

見ました。 あまりパッとしないというか・・・結局だから何?といった感想 ようは脂肪=肥満=糖尿病で日本人は痩せててもなりやすい体質だっ...

作者:ゆるいローカーボ(糖尿と体調とか)

更新日:2008年11月18日 20時24分

このブログのホーム